ふと、忘れてたものを思い出した。 幸せな気分って、こんな感じだ。 ぽんぽんと優しく撫でる頭の上に置かれたアキトの手の大きさが凄く頼り概のあるものに思えて仕方ない。 私はこの手をずっと待っていたような気さえしてくる。 手に入らないと思っていたその優しい温かさは、狂おしく愛おしいような、そんな気がして……私の内側のずっとくすぶっていた部分の温度を上げた。