ベッドの上で小さく体育座りしてイジケているナオヤに構わず、すっかり帰り支度を済ませて別れを告げるとやっぱり玄関までナオヤがすがって来た。



「ねぇ、虫がいたなんてホントは嘘だよね。見間違いだよね。アキラ、嘘でしょ。ねぇ、嘘だと云ってよっ! お願いだからぁぁぁ!」


「「知らん」」


あ、アキトと被った。


喚くナオヤを振りほどいて部屋を後にした、帰り道。


忘れていたドキドキがぶり返して、酔いがすっかり醒めるよな羽目になってしまったのは、計算外だった訳で……。