ふと、呟いた

『あの笑顔が好き……』






一度、言葉に出した気持ちは輪郭をはっきりと浮かび上がらせ、押し寄せる波のように何度も何度も胸の奥のドアをノックする。


かといって、もう一度自分から電話を掛ける気にはなれない弱さを振り払うには何か助けがいりそうだった。



わだかまりの残った頭の中をすっきりさせたくって、ふらっと、立ち寄ったコンビニでカゴにビールを数本落としたところで、ふと軽くなったのに気付いて振り返ったら、心臓がとんでもない早さで動き出したんだ。