「でさぁ、アキラが何を書いたのか知りたくって、夜中にトイレ行く振りして見に云ったんだ。
そしたらさ、【おとうさんがほしい】って書いてあった。
アキラん家ね、お母さんしかいないの。そのお母さんもなんだかなぁーな人なんだ。
小さい頃はよく解んなかったけど、今思えばアキラがしょっちゅう家に来て一週間も二週間も泊まって帰るってのも変な話だったんだよね。男の人が来てたんだってさ……だいぶ後になってアキラから聞いたんだ」
「そうなんだ……」
ため息と一緒に吐き出した煙が夜に溶けるように漂って消える。
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