「何分くらい待たせた?」 物思いにふける中、突然に聞かれたので一瞬戸惑う。 「いや、俺が着くまでタクシーさぁ」 「あぁ……、10分も待ってないと思うけど」 「それなら、まぁいいか……」 「なんで?」 ナオヤを背負いながら、歩く度に足を引きずる音がする。これだけ、脱力された人間ならかなり重いだろうに全く気にならない素振りで慣れた様子から、それが一度や二度じゃないことを窺わせる。 「いやぁ、オッチャンいい人だったなぁ」