嫌な思い出を掻き消したくて、思考の上書きをする為に新しい煙草に火を着ける。


ゴロワーズを持っていないのが残念だけど。



ふと見上げた、まだ明けてない空は淀んだ心を映したようで。


風のない空気は吐き出した煙とため息をまとわりつかせたまま、あの匂いとあの日の空を思い出させて。




あの日のアキトの笑顔だけが記憶の中で眩しかった。