玄関先で驚いたまま、固まったナオヤを押し退けて部屋に上がる。 「だから、三河屋です。さぶちゃんしかいねぇだろ。酒持ってきた」 「さぶちゃん、もっと愛想いいよう。なんだよ……それぇ……あり……が……と……」 後ろから聴こえた声はかすれて、力なく途切れた。 はっ!? 泣いてる? まさかと思い、振り返ろうとするといきなり両肩を掴まれ前を向かされた。