完全に持たれ掛ったナオヤの身体から、更にウザイ音量で携帯の着信音が響く。
コイツは何につけても“デカイ音”が好きらしい。
まぁ、選曲は悪くないのが救いだが。



しばらく鳴って、諦めた音は丁度サビのいい部分で途切れた。


この音でも、起きないって爆睡かよっ! とイチイチ突っ込むのも面倒くさい。

迷惑そうな運転手の顔がチラッとミラー越しに映る。

互いに見て見ぬ振りで世間は成り立っているんだ。







なのに、今度は聞き慣れた音が鳴り響いた。


私の着信音だ。


こんな時間に掛けてくる心当たりは、いま隣で爆睡中の馬鹿ぐらいしかいないのに。


おもむろに取り出して、画面を開くと見慣れない名前が其処には在った。