あたしは自分が泣いてるんだと思った。
泣いてるから暈して見えるんだ。
そう思い込もうとした。
「竜、」
「見えにくいんだろ?」
「…」
「訊かないのか?」
「何、を?」
「何で見にくいかって。ぜってぇ訊かれると思ったのに。」
「…よ。」
「え?」
「訊けないよ。…訊きたくないよ。」
訊きたくないよ…
答え聞くのが怖いんだもん。
「別にいいけどさ、とりあえず今日の、」
「帰らない。」
あたしは竜の言葉を遮る。
「ちょっと待てよ。俺何も、」
「帰れって言うつもりでしょ?」
「…」
あたしは下を向く。
帰ったらダメな気がした。
もうこのドアを開ける事はない。
直感だった。



