君がいた部屋~二階階段前倉庫~



―5年前―


「やっと家族で出かけられるわね。」


「本当だな。」


「お父さん、ありがとう!!美羽嬉しい!!!」


あたしは3人家族だった。


お父さん、お母さん、そしてあたし。


あたし達はお互いのことが大好きだった。


でもお父さんは仕事が忙しくってなかなか3人そろってご飯食べたりとかは出来なかった。


お父さんが帰ってくるのはいつも夜中で、あたしは起きていられなかった。


あたしは小さいよくトイレに行くフリをしてお父さんが帰ってくる時間に玄関で待っていた。


お父さんはあたしに会うと「早く寝なさい。」とだけ言った。


あたしはそのたった一言が聞きたくて毎晩のように待っていた。


お母さんはいちも家族の為に本当によく働いてくれた。


あたしはお母さんが休んでいるのをあまり見た事がなかった。


あたしが手伝おうとするといつも喜んでいろんな事を頼んでくれた。


そんな忙しいお母さんだけど、ご飯の時は絶対一緒に食べてくれた。


だからあたしはご飯をたべているのが1番幸せだった。