「それから、まいまいが泣かないようにって、まいまいを泣かすやつらとかにケンカ売ったりしてた。 倖田先生の事で、まいまいが泣くのも、すごい嫌だった」
泣かすくらいなら、俺が奪ってやるってそう思ってた。
でも…。
「そのぶん、倖田先生を見てる時のまいまいってすごい、幸せそうで…楽しそうで。 辛くなって、泣くときもあるけどそれは、まいまいの幸せの一部なんだって、思った」
泣いた分…いや、それ以上に幸せな気持ちにしてくれるのは、俺なんかじゃなくて、倖田先生なんだって思った。
「だから、もう俺がまいまいを守ってやる役目は、終わったんだ。 もうそれは、倖田先生の役目だから」
「…やっぱり、辛い?」
美智子ちゃんが、難しい顔をして、そう言った。
「辛くないよ。 まいまいが幸せだったらそれでいいし」
娘を嫁に出す父親の気分、なんてわかんないけど。
近いものはあるんじゃないかな。
ずっと好きだったけど、今は晴れ晴れとした気持ち。
そう思えるのは、やっぱり…。
「こんなこと、美智子ちゃんに話すのは間違ってるかもしれないけど、でも。 …聞いてほしかったんだ。 もう、吹っ切れたって事」
「吹っ切れた、って…」
「今、俺が好きなのは美智子ちゃんだけ」
そう言うと、美智子ちゃんは顔を真っ赤にした。
「え…、ほ、ほんとに?」
信じられないような表情で聞いてくる。
「うん、本当」
その言葉に、嘘はない。


