「ちょ……すごい人じゃん。こんなん、たどりつけるの?」 たこ焼き屋は、模擬店の中でもひときわにぎわっていた。 あたしって、意外にもこういう場面では妙に消極的になっちゃう。 人を押しのけて前に出る……みたいな根性がないんだよね。 人だかりを目の前にして、おもわずひるんでしまう。 なのに、深町京悟はワクワクした目で言う。 「何びびってんの。 余計、闘争心湧くっつーの! 絶対、食ってやるー!」 「えっ、えっ、きゃあああ」 止める間もなく、あたしは人ごみの中に引きずられていく。