「悪いけど、これ、図書室に返しといて」 先生の手には一冊の本。 「はーい。わかりましたー」 本を受け取ろうと、手を伸ばしたら、 先生は優しい眼差しでじっとあたしを見ながらこう言った。 「鍵はきっと見つかる。 沢木田ならわかるはずだよ」 「あたしなら……わかる?」 「ああ」 深く頷く北瀬川先生。 ふいに視線を感じて横を向くと、 深町京悟があたしと先生の様子をじっと見つめていた。