2LDKのお姫様

「明後日にでも、向こうに帰ろうと思ってるんだけど、空いてますか」


いつもの昼下がり。2人は相変わらずのんびりとした時間を楽しんでいた。


『うん。どうやって帰るの』


「多分、電車かな。お金があれば新幹線で帰るんだけどね」


『それくらい出すわよ。』


どうせ区間は短い。そんなに高いわけでもない。ただまあ、確かに電車ならかなり安い。無駄使いが出来るほどの余裕も無い。


「いや、良いよ。あんまり早く着いても暇だしさ、どうせ挨拶なんて直ぐ済むだろうし」


『そう。じゃあお土産とか買って行こうと思うんだけど、何か好き嫌いとかあるのかしら』


「お土産なんて良いよ」


『ダメよ。初めて会うのに、失礼じゃない』


流石にお土産はいるだろう。


「うーん、多分、甘いものとか好きなんじゃないかな、八ツ橋とかで良いんじゃない」


『そんな、修学旅行じゃないんだから』


最もだ。


「修学旅行帰りみたいなモノだよ。それに妹は八ツ橋好きだよ」


『じゃあ妹さんには八ツ橋ね』


大には妹もいる。


「妹さんって、まだ小学生だよ」


そう言って彼はケラケラ笑っているが、シオリは真剣だ。


何故なら、女として、どこかセンスを問われているような気がしてならないからだ。


『とにかく、今日暇でしょ』


「まあ、確かに、予定は無いですけど」


『ちょっと買い物付き合って』


「え、……」


シオリの買い物と言えば、あまり良い思い出は無い。


『何か文句あるの』


まあ、結局いくはめになる運命は変わらない。