２ＬＤＫのお姫様

シオリはそれもあってか、最近はいつも浮かない顔ばかりが目立つ。


国家試験にも合格して、インターン先も決まったのに、どこか落ち着かない。


もちろん大と離れる事も、その原因の１つなのだろうが、何かが引っかかっているのだ。


独りになるのが不安なのは確かに大きい。今まではずっと側にホノカや大がいた。だが年度明けには各々独りになる。


バラバラの道を歩き出すのは新しい門出に出会えたこと。決して悪い事では無い。


インターン先ではおそらく、今以上に多忙な日々が待っている。例え今のままでも結局独りになる。


大学へ入って市内から出て行ったしゅいろの親離れも少し痛かった。彼女の面倒を見るのは、大やホノカと違って、未完成のものを完成させる充実感を得ることが出来ていたからだ。


ただここに来て一気に皆が自分のもとから去っていくのは、あまりにも急で、収集がつかないわけだ。


だから早い所、大も２人の関係を固くしておきたかったのだ。


出会ってから３年以上。２人は決して互いの生活に干渉はしなかった。正式な同棲、かつ彼の留守を預かるということは、つまり婚約にも匹敵する事だ。