2LDKのお姫様

そういえばあの禁酒中、実際に大とホノカは酒を断っていた。


正確に言えば、シオリの前では一切飲まなかった。若い学生に一年間の禁酒は辛い。


しかし、大には意外な余波が到来していた。


それはシオリとの肉体関係が、かなり増えた事が最も大きい。


本当に信じられないが、シオリは一週間ずっと大の部屋で過ごした時期もあったくらいだ。もちろん、大半の目的は勉強のためだ。


だが、そのおかげで大は随分とストレスレスな一年を過ごす事が出来たようだ。


ホノカも新しい恋人が出来たし、しゅいろは大学に入った。


皆が馬鹿な事ばかりやってきた、このマンションもだいぶ環境が変わって来ていた。


もうこの階にはあの頃の4人が集まる事はほとんど無い。


シオリは大に一緒に住むよう何度か打診されていたが、毎回有耶無耶にしていた。


悩んでいたのだ。


いや、本当は少し寂しいのだろう。もちろん、毎日のように彼には会えるし学校でホノカにも会える。しゅいろも府内にいるのだ。しかし、あの4人で過ごした日々はシオリには特別なのだ。


毎週土曜日は4人で食卓を囲んで、夏にはみんなでベランダから花火を見たり、冬にはコタツでゲームをした。


あの部屋は皆にも特別なのだ。


もちろん大も分かっていて聞いている。ただ、大の部屋と違ってシオリたちの部屋は賃貸。


生きているだけで年間100万以上が消えていく。


まあ医者の卵なら、そう驚くほどの高さでは無いのだろうが、勿体無いのは確かだ。