正午過ぎ、まだ彼は帰らない。
『あ……』
彼のコトに気を捕られて、洗濯物を洗うのをすっかり忘れていた。
洗面所に行くと赤と青のカゴが置いてあり、そこにそれぞれ服などを溜める。
あまり彼は洗濯物には出さない。自分の部屋にちゃんと服は持って帰っている。
しかし問題はあの二人だ。
でも今日は少し違い、彼は急いでいたのか、着ていたパジャマをかごに出していた。
下のパジャマを洗濯機に入れ、次に上着を手に取る。
パジャマからは
匂い慣れた彼の香り。
その懐かしいような愛しいような匂いに
独り留守番の彼女は少し彼が恋しくなった。
「なーにしてるの」
クスクスと影から見ていた、かの少女。
『いや……これは』
「皆帰ってきたら教えてあげよ」
『え………』



