『…………ん』
シオリは随分と長い間眠っていた。窓際が淡い橙色に染まっている。こんなに長く眠っていた彼女はいつぶりだろうか。
彼女は一時、どこかを見つめながらぼぉーっとしていた。いや決して何かを見ているわけでは無いようだ。
「おはよう。シオリさん」
彼が横にいる事に、やっと今ピントが合った。
『ここで、何してるの……』
「何って、ほら」
そう言って彼は手に持っていた本を彼女に見せた。
どうやら彼女はあれから帰って、そのままリビングで眠っていたようだ。
彼女は時計を見た。
『はあ……』
ソファーに座った時には確か20時頃だったはず。もう今は昼過ぎ。彼の幻覚を見るとは。自分の不甲斐なさに落ち込む。
『………』
シオリは無言のまま、まじまじと窓の外を見つめた。そして急に立ち上がって洗面所へ向かった。
洗面所へ行くと今度は彼女は自分の顔をまじまじと見つめていた。幻の彼から顔にイタズラでもされたとでも思ったのだろうか。やけに真剣だ。ずっと鏡を眺めている。
そして直ぐにケータイに目をやった。やはり連絡は来てない。
こういう場合、自分から連絡をすべきだろうか。だがそれもなんだか、こう、駆け引きに負けたような気がしてならない。
パサパサの髪が気になるが、流石にこうも連絡が途切れると、もう耐えられない。
『……』
結局、シオリは彼の番号を手早く打ち込んでいた。
シオリは随分と長い間眠っていた。窓際が淡い橙色に染まっている。こんなに長く眠っていた彼女はいつぶりだろうか。
彼女は一時、どこかを見つめながらぼぉーっとしていた。いや決して何かを見ているわけでは無いようだ。
「おはよう。シオリさん」
彼が横にいる事に、やっと今ピントが合った。
『ここで、何してるの……』
「何って、ほら」
そう言って彼は手に持っていた本を彼女に見せた。
どうやら彼女はあれから帰って、そのままリビングで眠っていたようだ。
彼女は時計を見た。
『はあ……』
ソファーに座った時には確か20時頃だったはず。もう今は昼過ぎ。彼の幻覚を見るとは。自分の不甲斐なさに落ち込む。
『………』
シオリは無言のまま、まじまじと窓の外を見つめた。そして急に立ち上がって洗面所へ向かった。
洗面所へ行くと今度は彼女は自分の顔をまじまじと見つめていた。幻の彼から顔にイタズラでもされたとでも思ったのだろうか。やけに真剣だ。ずっと鏡を眺めている。
そして直ぐにケータイに目をやった。やはり連絡は来てない。
こういう場合、自分から連絡をすべきだろうか。だがそれもなんだか、こう、駆け引きに負けたような気がしてならない。
パサパサの髪が気になるが、流石にこうも連絡が途切れると、もう耐えられない。
『……』
結局、シオリは彼の番号を手早く打ち込んでいた。



