2LDKのお姫様

その頃、シオリは彼の苦渋の選択の事など知らず、あれから、ずっとうなだれていた。


結局卵は買いに行かなかったのだ。


そろそろ夕食の準備を始めなくてはならない。


いや、その前に部屋に干しっぱなしだった洗濯物を取り込まなくてはならない。


今日はわがまま姫たちがいないために、洗濯物も夕食も少なくて済む。


だが、それだけが唯一の救いとなるかは、この後来る彼次第であることをシオリはよく知っている。


『はぁ……』


何かと最近、彼との生活には整理が付かなくなっているのが事実だ。


最近は実習やバイトで予定が合うことなんてめったに無かったし、暇さえあれば二人共に勉強の休日が待っている。


しかし今思えばこうやって週に何度がゆっくり過ごせる日があるのはマシな方なのかもしれない。


お互いに就職してしまえば、もっと会えなくなる事は避けられない事実だろう。


でも、だからといって最近の私たちは少し会えない事に慣れてしまっている気がする。


いや、勿論、彼の方は解らないが、私は彼と会えない日は大抵は寂しいし、会いたい気持ちでいっぱいになる時がほとんど。


だからたまに会えば、その、私たちは兎に角男女の仲になる。そう、まるで強力な磁力に引きつけられるように、合わさっては離れない。


1日のほとんどをベッドの中で過ごす事は珍しく無い。