2LDKのお姫様

その頃、大は……


構内は今日も賑わっていた。何十年も前の事だろ、と言いたくなるような光景が昼下がりの木陰を巡って争っている。


互いに本を持ったカップルや、ビラを配る学生、宗教勧誘。


この機関は何を繰り返したいのか。解らない。


彼はというと、そんな人が溢れた中で人を避けながら家路へ急いでいた。


シオリはもう帰っただろうか。二時間前に別れたばかりだが、意外に未ださっきの事を気に病んで、あの街並みの中で迷っているのではないかと、少し可笑しな妄想をしながら大学を後にした。


そういえば、今日彼女と食べたパスタが美味しかった。


商店街を抜けながら、今日はシオリと二人きりなので少しオシャレな夕食にしようと大は考えていた。


「買い物してくか」


二人は似た者同士だ。


結局互いに相手に何かしてあげようの精神に溢れている。


いや、大の場合は見返りを求めている時が多いのが事実だ。


何かと彼女のご機嫌を取るために何かする事が多い。


どこまで似ているのか、大はシオリが行った所と同じスーパーで買い物を済ませ、帰路についた。