2LDKのお姫様

「あれシオリ、こんな時間から大くんの部屋行くの」


あれから帰って来たシオリはお風呂を済ませていた。


『そうよ……』


洗面所で髪の手入れをしていた所にホノカが歯を磨きにやって来て、出くわしたのだ。


「何よ、もう仲直りしたの」


このこのー、と茶化すホノカをよそにシオリの表情は未だ少し冷ややかである。


『まだ、これからよ』


「何、あんた達まだ仲直りしてないの。シオリも本当に頑固よね。野良猫みたいに執念深いというか」


『私は何も悪くないの。私は被害者なのよ』


「被害妄想も良いところよ。そうやっていつまでも意地はってたら、逆にあっちに愛想尽かされるのが落ちよ」


珍しくホノカがふざけない。


『……ん』


ギクッと、その言葉には少し不安を隠せなかった。


確かにこのままではいけないのは解っているのだ。しかし、そんなに簡単では無いのも事実。


『仲直りはするわよ』


「ふーん。まあ、男なんて抱かれておけば大丈夫よ」


『な、別にそういう理由で行くんじゃないわよ』


「まぁまぁ、とにかく早く行って来なよ」


もう夜中の一時。流石に遅い。


『もう、戸締りしっかりするのよ』


「はいはい」


怒りながらシオリは部屋を後にした。