２ＬＤＫのお姫様

「やっぱり、あんパンにはコーヒーですか」


あんパンとコーヒーを味わう姿を、流石に今度は笑えない。


『そうよ』


ホノカ先輩いわく、怒った彼女を宥めるなんて簡単らしく


とにかく帰ったら超絶に優しく接してやれば良いのよ。


という事だった。


優しく接する。その具体案を出さないから女性の扱い方は難しいのではないだろうか。


今の彼女を宥めるなんて、簡単では無い。


「さっきの香坂見ました。猫みたいな目してたでしょ」


とりあえず会話で和むのが一番だと大は考えた。


『そう。彼女、綺麗じゃない』


冷ややかだ。


「……そうですね。あ、でも彼氏はいないらしいですよ」


『そう。もったいない』


冷ややかだ。


実に冷ややかな目しか見せてくれない。


「………」


大も言葉が見当たらなくなって来たのは紛れもない事実。


「ああでも、あんなすぐ怒りそうな怖い彼女は扱いが難しいそうですよね」


『……』


しまった。


地雷踏んだ。と思ってももう手遅れだった。


『彼女をすぐに怒らせる彼氏の扱いも、大変そうね。じゃあ私先に帰ります』


「あっ、ちょっとシオリさん」