2LDKのお姫様

意外にも道が混んでいたし、本屋の場所が分かりにくかった。


そんな理由で、遅れた事の言い訳になるだろうか。


大が本屋に着いたのは8時半。


予定より随分遅れてしまった。


フロントガラス越しに窓際にいる人を眺める。


彼女の姿は……


「………あ」


意外にも彼女は本屋ではなく、本屋の真隣のコンビニにいた。


「………ん」


コンビニの前で、本の入った袋を片手に何かを食べているようだ。


「シオリさん」


すぐに掛けよったのは良いが、どうやらいきなり声をかけられ驚いたらしく、シオリは袋を落としてしまった。


『どうして……大くん』





シオリを車に乗せて走りだす。


驚いたせいか、彼女は意外にもすんなりと車に乗り込んだ。


いや驚いたのは大の方だ。


「あんパンに珈琲って合いますか」


シオリがコンビニの前で食べていたモノ。


彼女はどうやらホノカから迎えに来ると言われていたらしく、時間になってもなかなか来ないので小腹が空いてしまい……


コンビニで、あんパンとブラック珈琲を買って食べていたらしい。


『べ、別に良いでしょ……』