2LDKのお姫様

随分ひどい紹介をされていたようだ。


「てか、瑠璃ちゃんも大くん知ってたんだね」


「はい」


「ああ、あの目付きだけは一丁前で、本性は気の弱い駄目な同級生の彼ね」


こっちもまたひどい。


「最悪だ……」





カフェの昼は人が込み合い、非常に繁盛していた。


夜はそれ以上の賑わいらしい。


それはさぞや儲かっている事だろう。


「でさ、今日その可愛い彼女と、仲直り出来るか出来ないかの正念場なのさ」


「ああ、だから今日は落ち着かない1日を過ごしてるってわけなんですね」


香坂とホノカが2人話しているのを、大は1人端の席から眺めていた。


あの2人の組み合わせは意外だ。対局の2人だろう。


「そう。今日仲直り出来るか出来ないかで賭けてるんだ」


「ふふ」


香坂が普通に笑っている所なんて、新鮮だ。久しぶりに見た。


いや初めて見たかもしれない。


「じゃあ私は出来る方に」





「賭けるなんて無粋な」


ランチタイムを過ぎると客はほとんど来ないらしく、夕方までは暇らしい。


「悪かったよ」


と言いながら香坂はエプロンの下から煙草を取り出して慣れた手付きでそれに火を灯した。


「こっちは悪いじゃすまないんだよね……」


「そうだろうね」


と彼女は笑いながら煙をはいた。