2LDKのお姫様

「今日シオリね、バイトで遅くなるらしいから、迎えに行ってあげてよ」


電話の主はホノカだった。


「いや、今シオリさんとは喧嘩中で」


「はあ、暗い夜道を1人で歩かせる気」


「いや」


「とにかく、三丁目の本屋にいつも寄っ帰るだろうから、後でちゃんと迎えに行くのよ」


「はい……」


しぶしぶ合意した。


迎えに行っても、まず口さえ聞いてもらえないのでは無いだろうか。


「まだ昼前だ」


大はまた来た道を戻り、カフェに戻ることにした。


「いらっしゃ、ってまたアンタか」


大はシオリを迎えに行くまで、まだ随分時間があるため、紺野から聞いていた自慢のランチバイキングを食べに来たのだ。


「あれ、大くん」


しかし、そこには意外な客がいた。


「ホノカ先輩……どうして」


先ほどまで電話をしていたホノカがいたのだ。


「どうしてって、私昼はいつもここだから」


「ホノカさん、アイツと知り合いだったんですか」


香坂も驚いていた。


「そうだよ瑠璃ちゃん。ほら、いつも話してたのが大くんだよ」


「ああ、あの美人彼女のヒモ男の彼ですか」