2LDKのお姫様

「青永、早く起きな」


大が目が覚めた時はもうすでに11時をすぎていた。


髪はぼさぼさで、目覚めも悪く気持ちが悪い。


最近寝つきが悪く、今のような酷い有様である。


「悪い香坂、珈琲たのむ」


「あ、うん」


朝から珍しい客が来たのだ。しかも意外な見たこともない表情を浮かべて。


香坂が驚くのも無理は無い。


「何かあった」


「いや、まあ」


大の弱々しい声がカウンターに響く。


「何暗い顔してんのよ。店の雰囲気が悪くなるだろ」


香坂なりの励ましだったのだが、全く効きそうにない。


「なあ香坂、さっきから上から足音が聞こえるんだが」


「ああ、妹」


「妹いたのか」


「煩いのがね」


そんな会話はどうでも良いのだ。


「何かあったんなら早く話して帰って。もうすぐ常連さんが来るから」


香坂の睨みにも、大は逆らえない。腹をくくるしかない。


「実はな……」


大は事の経緯を一から説明していった。


そして香坂の第一声は


「あんた本当に彼女いたんだ」


だった。