2LDKのお姫様

『もう良いわ。』


「え」


『聞こえなかったの。もううんざりしたの。早く出てって』


「でも……」


今にも泣き出してしまいそうな彼女を放っては帰れない。


『早く出ていって』


しかしシオリに無理やり追い出されてしまった。


その後シオリはすぐにベッドへ向かい顔を埋ずめた。


「……」


廊下に一人立ち尽くす大。


「あ、やっと出てきた。どうだった……」


その日ホノカは青白いという意味を初めて理解したという。


〜リビング〜


「話はわかったわ。あんたが最低だって事がね」


「本当に、見損ないましたよ。シオリ先生可哀相」


こっちに来たらきたで袋叩きである。


「でも、珍しいわね。約束すっぽかしたくらいで、あそこまでシオリが怒るなんて」


「普通ですよ。あんなにお昼過ぎまでは幸せそうに大くんを待ってたんだから、しかも女といたなんて」


しかし確かにシオリがそれくらいの事であそこまで感情的になるのは変だ。


「何か大事な用事だったんじゃないの」


「いや、別にただ買い物に行く約束をしてただけですよ」


1週間くらい前にシオリから買い物に行こうと約束をしていた。別に特別な用事は聞いていない。


「うーん……」


頭をかかえる三人。


そんな時だ。大のケータイのアラームが鳴った。


「何、こんな時にまだ女から連絡ですか」


「違うよ」


ケータイを開く。


「……」


大はケータイを開いたまま、また青白く固まってしまった。


「何してるのよ早く見せな……」


ケータイの画面を見て、ホノカも固まってしまった。


「まったく二人して……」


しゅいろが使えなくなった二人を見かねて、代わりにケータイを見た。


「ちょっと……これって…」