2LDKのお姫様

「でも大くん、彼女の方が可愛いって」


また余計な。


「そりゃそうでしょ。好きで付き合ってるんだから」


意外にも流してくれた。


「そうだね。ああ……どこか良いカフェ無いかな」


「そんなにカフェに行きたいならうちに来れば」


「あ、そっか。香坂ちゃんの家に行けば良いんだ」


話についていけない。


「紺野、カフェに行きたいんじゃないのか」


「何言ってるのさ大くん。香坂ちゃん家はカフェじゃないか」


「へぇ」


知らなかった。
確かにどこかのカフェでバイトをしているとは聞いていたが。


「じゃあ大くんも一緒に、三人で行こうよ」


「……」


香坂に思わず目をやった。


嫌がる素振りをあからさまにしてくれる素直な人では無い。


だからこそ、難しい。


「じゃあ珈琲だけ飲みに行こうかな」


「決まりだね。そうと解ればレッツゴー」


テンション高く飛び出す紺野と、気まずく、かつ関わらない冷たいテンションの俺と香坂。


冬も近づいていて、風が冷たい。


あまりの温度差に外の寒さが一段と身に凍みるようだった。