2LDKのお姫様

先生は来なかった。


ゼミは結局ただの座談会になってしまい、香坂が来てから俺はまるで猫に睨まれたネズミの様にしぼみきっていた。


「でね、市役所まで行くんだけど、あそこ道が入りくんでて難しいよね」


「そうだね。にしてもそんなにそのカフェはいいわけ」


「いや、ただこの雑誌で見たから」


要するにただのわがまま。


「バカらしいわよ。カフェなんて。無駄に高いし」


「そうだよね」


流されやすいのが紺野だ。


二人の会話をただ聞いている。


大は決して参加しようとはしない。


とばっちりを食わないためだ。


「あ、そういえばね。さっき大くんとね」


まずい。


「私が彼女に似てる……」


余計な事を。


「ね、大くん」


「あ、ああ」