2LDKのお姫様

「なに焦ってるの」


「す、すまん」


焦った自分が恥ずかしい。


「に、似てないよ」


「似てるよ」


「全然違うよ」


俺はそう思いたかったのかもしれない。


シオリは優しい。


それに可愛い。


そりゃ怒った時は怖いし、まあ基本的に冷たい人だけど猫みたいに綺麗な……


……綺麗な冷たい目をしていて?


いやいや。


優しくて、怒ると睨み付けてくるから分かりやすくて……


「ち、違う」


とその時だ。


研究室のドアが勢い良く開いたのは。


「ごめん。遅くなった」


ついに来てしまった。


「遅い」


「ごめんごめん。バイトだったから」


相変わらずの華奢な身体。黒い服を来ているからラインが際立っている。


細長い手足は確かに魅力的だ。


「遅かったな。香坂」


「あ、ああ。いたんだ」


やはり嫌いだ。