2LDKのお姫様

「あぁあつまんない」


紺野は飽きてきた様子でお茶に手を伸ばす。


「どうして暇なんだよ。レポートを早くしあげろ」


「だって、せっかくの休憩時間なのに大くんは本ばっか読んで構ってくれないし、その所為で彼氏もできないし」


「……………」


なんで俺の所為?


と大は言おうとしたが実際、本に夢中ですぐにながしてしまった。


「年上の女に毎日構ってもらってるからって、本当に、うらやましい」


「……え」


どうしてそれが、お前がうらやましいのかと思ったのだが、ふと思い出せば今日はシオリと買い物に行く約束をしていた事を思い出し、


「ま、まあな」


思わず気がゆるんだ。


「シオリさん綺麗だもんね」


「そうだな」


まあこいつにしては嬉しい事を言ってくれる。


素直に喜んでしまう自分は少し悲しいが。


「ああでも、少し香坂ちゃんに似てるよね」


「ん、んなわけないだろ」


バンっと大は焦って机を叩きながら立ち上がってしまった。


いや立ち上がらずにはいられなかった。