2LDKのお姫様

.....その頃、とある山奥の国民宿舎では。


「では今日の勉強は終了。今から各班毎に自炊。あと、生活係は班員分のシーツを取りに来るように」


〇〇女学院恒例行事、林間勉強合宿が行われていた。


もちろん……


「疲れた〜」


しゅいろが参加している。


その夜。


深夜の女子部屋は、ガールズトークなる儀式が各部屋で行われるのが慣わし。


しゅいろが眠る部屋でもそれは執り行われいた。


布団に潜り、懐中電灯の灯りに身を寄せ合い語り明かす。


「ねえ知ってた。私のカテキョの先生に聞いた話なんだけど、おっぱいって170センチを超えたら一回り大きくなるんだって」


そんな馬鹿な話でそれは盛り上がるらしい。


『くしゅん』
「風邪ですか」


こちらも夜。


『いや、おおかた誰かが私の噂でもしてるんでしょ』


「俺たちの噂かもね」


どうやらこちらも夜を語り明かしている途中のようだ。


シオリの封印した昔の記憶と、しゅいろの話はどう関係しているのか。


いつか、シオリが胸の内を開いた時にそれは明かされるのだろう。


その日まで彼は思い出さないようにと、心に決めた夜だった。