2LDKのお姫様

『………ん』


シオリはあまりにレポートに集中してしまい、気付いた頃には既に5時を回っていた。


流石に2人とも寝ただろうと、タオルケットを持ってリビングへ向かった。


昨日というか、一昨日の彼の優しさと、昨日の彼の腑甲斐なさの葛藤は無い。


なぜなら、この時シオリは既に彼を好きになっていたからだ。


『大くん……』


しかし、リビングに行くと大はまだ起きていて、ソファーにうなだれていた。


「あ、すみません。こんなに遅くまで長居して」


『いや、大丈夫よ。それより寒くない。寝るならタオルケットあるけど』


「いや、本当は眠いんですけどね、その……、眠れなくて」


久しぶりのトラウマの再来に相当まいったのだろう。しかもあのホノカと飲んでいたのだから。


『本当に大丈夫』


彼の横に座って、顔を見る。やはり相当眠そうな目をしている。脈も少し速い。


「………」


シオリは真剣なのだろうが、横に座られて、手まで握られては、大は彼女の顔を直視出来ないほど、相当緊張していた。


『もうすぐ朝だから、朝ご飯食べに行く』


「そうしましょう」