2LDKのお姫様

カフェは二時に閉まる。どうするか。このまま帰してはあまりに可哀想だ。


『今日泊まりに来ても良いよ』


まだ付き合っていなかった頃だ。シオリは相当勇気を出した。


「いやでも、それはまずいですよ」


思い出せば、あの頃はまだ純粋だった。


『ホノカもいるし、あの子最近は退屈してるから一緒に飲んであげて。多分私も今日は徹夜でやらないといけないレポートがあるから起きてるし』


あまりの早口に、「はい」としか大は言えなかった。


部屋に着くと、ホノカはすでに飲み始めていた。


シオリが、大が飲みに来ると電話で言っていたらしく、嬉しすぎてもう飲んでしまったのだ。


『じゃあ私は部屋でレポート仕上げるから、何かあったら呼んでね』


そう言ってシオリは部屋に入った。


「大くんよく来たよ。さあさ、飲もう」


「はい……」


ホラー映画を酒でごまかすのは良い案だと思ったが、酒癖の悪いホノカと飲むのは最悪である。


大は徹夜で飲むのかと、冗談が通じない相手に怯えながら飲み始めた。


これではホラーだと、結局ため息をついてビールを飲んだ。