2LDKのお姫様

デートとは言っても、ただ2人で近くのショッピングモールに映画を見に行っただけだった。


しかし意外にもシオリがホラー好きで、怖がりの大がダウンしてしまったのだ。


あの日シオリは、帰りのカフェで大のケアに忙しなかった。


なんせお互いバイトあがりでレイトショーだったため、ひとけの少なくなったショッピングモールがよけい大の心臓を締め付けたのだ。


『大丈夫……』


コーヒーを飲めば落ち着くと思ったのだが。


「はい……」


どうもまだ怯えているようだった。


後で大から聞かされた話だが、どうやらホラー映画には幼い頃からのトラウマがあったらしい。


まさかホラー映画を見てダウンする男性だとは。まだ当時のシオリは、大の事を頼れる男性だと、かなり過大評価していたために、その状況はあまりにも意外だったのだ。


『ホラー映画、苦手なの』


「はい。見ると怖くて、寝れないんです」


まあ普通に考えれば、どうしようもない駄目な臆病者だ。


がしかし、もうすでに惚れ込んでいたシオリは、放っておけなかったのである。