2LDKのお姫様

翌朝の珈琲を今度は断らなかった。シオリは朝早くから大の部屋にいた。


ずばりお泊りである。


このお泊りのことをホノカは色んな意味を込めてショートステイと言って皮肉っていた。


確かに、こんな近距離ではホームステイにも満たない。


『このクッキー誰の』


テーブルの上に珍しくお菓子がある。どうやら不揃いな形から見て手作りだ。


「ああ、紺野が持ってきたヤツですよ。ちょっと焦げてるでしょ」


しかり、袋から出していて少し食べてある様だ。


『1つ、いただくわ』
「焦げてるから食べないほうが良いですよ」
『良いの』


一口食べると、仄かに苦い。


「無理しますね」
『いや、懐かしいの。私もよくこんなクッキー作ってたから』
「へぇ……」


シオリは結構料理は得意だ。


『これ食べたら、思い出した
「何をですか」
『大くんに初めてお弁当作ってあげた時のこと』