2LDKのお姫様

『はぁ……』


シオリは安堵のため息を洩らした。


彼の友人とは言え、あれほどまでの人とは。


しかし少し雰囲気がホノカに似ていて、まあそこまでのダメージはなかった。


いや、似てるからいっそう焦ったのだが、紺野のインパクトが強すぎてそれも吹き飛んでしまった。


『……いつまで待ってれば良いのよ』






30分後






『遅い』


「すみません、アイツのアパート少し遠くて」


彼女の疑いの目には慣れている。


何かしてきたんじゃないの、みたいな目をしている。


実に怖い。


「で、今夜は何か御用で」


『もう、紺野さんのおかげで全部忘れた』


「え、まったくアイツは……」


大事な用だったのだろうか。


それなら本当に彼女に悪い事をしたはずだ。


「取り敢えずビール」くらいの勢いで、大は土下座が出来る男だ。


『良いの、別に大した事じゃなかったから忘れたんでしょ』


そう言うシオリの顔は、確かに吹っ切れていた。