2LDKのお姫様

『私はお邪魔みたいだから、帰ります。紺野さん、ごゆっくり』


「あ、あのシオリさん」


慌ててシオリを呼び止める。


「シオリさん。待ちな」


『え……』


紺野が急に呼び止めたために、驚きながら立ち止まる。


「恋人ならキスとか見せてよ、大くん」


紺野の無茶ブリには、たまに度を超えて無茶過ぎる時がある。


「おーい紺野さん、お前酔いすぎだよ」


こいつはどれほど飲んできたのだろうか。まったく困ったヤツだ。


「寄ってないよ、全然さ」


大は取り敢えずシオリの方を見た。シオリは、やはり困った顔を見せた。


「シオリさん、ちょっと俺、紺野を送って来ますから、部屋で待っててください」


『う、うん……』


シオリは頷いてくれた。


「ちょっと大くん、まだ話が」


紺野の凝り様は異常だ。


「はいはい、帰るぞ」


しかし大は慣れた手付きで紺野を連れて部屋を後にした。