2LDKのお姫様

『法学部の研究室のお友達』


「そうです。もう大くんとはマブダチだよね」


「あ、ああ。そうだな」


流石に気まずい。


部屋に立ちこめる沈黙。


まるでその気圧は計り知れないほどに重たい。


「珈琲でも煎れますか……水もありますけど」


絶え切れず、思いついたように大は立ち上がったが……


『良いわ。水で大丈夫』


「はい……」


簡単に彼女に一蹴されてしまう。


「で、で。このべっぴんさんは誰だい」


もうすぐ25時。


「えーと………」


何と言えば良いのか。シオリの方に目をやるが。


『…………』


なんとも彼女も言いにくそうな顔をしている。


「何、大くん。」


どうする。


もしここで「彼女だよ」と陽気に言えば、紺野のマシンガントーキングは終わらない。今夜は確実に完徹になるだろう。


かと言って「ただの知り合いだよ」と言えばシオリに後で何をされるか分からない。


いや、そんな事を言ってしまったらシオリのケアは大変だ。


『……』


しかしまあ、シオリの表情が不安から疑いの様に変わっているような気がするのも嘘ではない。