2LDKのお姫様

「つぎ大くんだよ」


2人は楽しげにテレビゲームをやり込んでいる。


『……』


シオリはそんな2人の後ろに座り、本を読みながら時たま2人の方に目をやる。


「先輩ズル」
「にしし、実力だよ」



この2人、今までは全く考えたことがなかったが元々は知り合いで、バイト先の先輩後輩である。


結構この部屋でも二人きりにすることが多いが、良い感じになったりしたことは無いのだろうか。


ホノカは恋愛体質だ。男漁りは趣味化さえしている。


それに、こんな駄目な人だが結構顔は可愛い。


『……』


シオリはそんなことが急に気になりだして、2人をまじまじと見つめる。


「何シオリ、じろじろ見て」


ホノカが気付く。


『な、なんでもない』


シオリはまた本に目を向けた。


しかし、


『……』


凝視してしまう。どうやらシオリは疑い深い性格らしい。


「ちょっと大くん、シオリが私たちをじろじろ見てるよ」


「え」


しょっちゅう2人は喧嘩をするが、結構仲が良い。よく手を繋いで買い物に行ったりもする。


今日も普通にラブラブでゲームだ。もしシオリがいなければ万人が2人を恋人同士だと勘違いするはずだ。


別に2人を疑っているわけではないのだが、何だか変な気持ちだ。


あまり良い気がしない。


本当に急にそんな感情が産まれていた。おそらく自分の中の彼に対する束縛度が増えているのだ。


その日の夜。



ホノカが寝入った後、ひっそりとシオリは大の部屋を訪ねていた。


『大くん……』