2LDKのお姫様

『来るときは電話して……』



「うん」



大が出て行くのを見送ってから、直ぐに鍵を閉めた。



覚束ない足取りでリビングへ向かい、ソファーになだれ込む。



今日はダメだ、と思った。



『……お風呂入らなきゃ』



時計に目をやると、短針が9時を少し通り過ぎていた。



いつもならまだ、後片付けをしている時間。2人だと、こんなに早い。



シオリはいつにも増して、入念に体を洗った。



今日はダメかもしれない。



10時頃、彼から電話が入った。



「ただいま」



『おかえり』



思わず笑顔がこぼれた。



彼も湯に浸かってきたらしく、未だ髪が濡れていて、艶やな光沢を帯びている。



シオリはドライヤーで乾かしていた。



「お風呂入ったんだね」



シオリの横を歩きながら大が口を開いた。



『うん……』



横に立つと未だシオリが温かい。



近寄ると解るが、髪からもまだ新しいリンスの香が漂ってくる。



それに、可愛い寝間着を着ているのだ。話しかけない方がおかしい。



「どうする、もう寝る。それとも映画でも見ますか」



リビングで2人立ち止まる。



『もう寝るわ。』



少し緊張する…。好きだとは言え、やはり部屋に男の子を入れるのは。



「じゃあおやすみ」



『え?』



彼は部屋の前で立ち止まった。



「良いよ寝てて、先輩は俺が待っておくから」



ポンポンと頭に手を置く。



『一緒に寝ないの?』



「……んっ////」



それは反則だ。



そんな目で、そんな声で言われたら。



……………………



時刻は12時を回る。



「ただいま……」



ホノカが帰ってきた。



「遅かったですね」



「いや、早い方よ。それよりシオリは?」