「はい、出来上がり」
夕食は大が用意した。
彼は料理が得意で、しゅいろとホノカはよくご馳走になっている。いや、ご馳走させている。
特に彼の作るケーキは絶品で、噂では、どこかの喫茶店に度々出品を要請されるほどらしい。
「どうでしょう、今日のグラタンは。少し焦げたかな」
『いや……全然』
悔しいけど、美味しい。
意外にも、シオリの大好物はグラタンである。しかもマカロニ。
「やっぱり、鶏肉は必要だったかな」
料理を作るのも同じで、どうしても人は完璧を求めてしまうもの。
大も、特にシオリの前では良いところを見せたくなる。
『いや、本当に……美味しいわ』
彼の作る料理には、余り肉が入っていない。何やら理由が有るらしいが、まあそれは別に良いだろう。
何せ普段あまり笑わない彼女の、天使のようなこの微笑みを見れば、誰でも何もかもどうでも良くなるだろうから。
******



