2LDKのお姫様


「はい、出来上がり」



夕食は大が用意した。



彼は料理が得意で、しゅいろとホノカはよくご馳走になっている。いや、ご馳走させている。



特に彼の作るケーキは絶品で、噂では、どこかの喫茶店に度々出品を要請されるほどらしい。



「どうでしょう、今日のグラタンは。少し焦げたかな」



『いや……全然』



悔しいけど、美味しい。



意外にも、シオリの大好物はグラタンである。しかもマカロニ。



「やっぱり、鶏肉は必要だったかな」



料理を作るのも同じで、どうしても人は完璧を求めてしまうもの。



大も、特にシオリの前では良いところを見せたくなる。



『いや、本当に……美味しいわ』



彼の作る料理には、余り肉が入っていない。何やら理由が有るらしいが、まあそれは別に良いだろう。



何せ普段あまり笑わない彼女の、天使のようなこの微笑みを見れば、誰でも何もかもどうでも良くなるだろうから。









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