2LDKのお姫様

「特に大くんに会ってからは、それに磨きがかかって。本当に解りやすいのよ」



まさかあのホノカに、こんなことを言われるとは思っていなかった。



『……』



シオリは、そんな浮き足だった自分を見られていた事の恥ずかしさに絶えかねて、何も言うことが出来ず、その後もずっとソファーに突っ伏していた。



「案外、見てないように見えて、本当はちゃんと見てるんだって」



そうは言うものの、なかなか急には信じられない。



もちろん、彼に不満は無い。



だけど、一緒に寝てる時も、髪のことなんて一切触れて来ないし。



彼は案外意地悪で、どちらかと言えば触れて欲しくない、私の小さな胸ばかり、いつも弄ぶ。



それは本当に嫌。



昔に本で読んだ事がある。ガリガリにまで痩せた女とのセックスは非常に疲れる物だと。



「ただいま……」



あれこれと物思いに耽っている間に、しゅいろが帰って来た。



「あ、おかえりしゅいろ。お土産は」



「あぁ、はい」



どうやらホノカは何か頼んでいたらしく、しゅいろはゴソゴソと持っていた紙袋の中に手を入れている。



「はい、どうぞ」



「おぉ、ありがとう」



そんないつもの2人には目もくれず、ため息がこぼれ落ちる。



「どうかしたんですか、シオリ先生は」



「シオリは恋患いで、飯をも喉に通らない状況なの、そっとしておきな」



ホノカはポンポンとしゅいろの肩を叩きながら、お土産の大きなたこ焼きを口に放り込んだ。



『…………………』



しかしシオリの病気も随分と重症だったのだ。












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