2LDKのお姫様

あの後……



琵琶湖を後にした2人は、途中みち沿いにあるお店に立ち寄ったりして、いつもと違う時間を楽しんだ。



そして夜は旅館に泊まった。



名前はそこまで有名ではないらしいが、とても大きな旅館だった。



中は至って普通の和風旅館で、「恋人同士ですか」と聞かれ、中々「はい」と言わない彼が少し頼りなかった。



料理も、美味しかった。お風呂も庭の景色が綺麗で充分満足できた。



そして11時も周り、2人は布団に入って電気を消した。



「もう寝た」



『まだ……』



そんな取り留めも無い会話をちょっとして……。








『寝たの』



「え」



今度は拍子抜けした表情を浮かべながら、それでもせんべいを口に運ぶ。



「何それ。あんたたち本当に」



『何、何か文句でもある』



シオリの冷たい視線。



「いや何でもありません」



流石のホノカもシオリには勝てない。



『でも……』



確かに彼女に言い分もある。



普通、若い恋人同士が同じ屋根の下に、一緒に寝ていれば何かあるのが……普通。



浴衣だし、雰囲気も有るし。



ちゃんと心の準備も出来ていた。



「シオリさ、お風呂入った後、髪解いて部屋に戻った」



シオリはいつも髪は後ろで1つ結びにしている。



『髪は脱衣場で解いてたけど、ドライヤーあったから、部屋に戻る時は結び直して…』



「それよ、シオリ」



何かを悟ったような口振り。



ゆっくりとホノカは続けた。










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