2LDKのお姫様

家に着いたのは10時だった。


あの後、結局どこにも寄らずに帰って来たのだ。


「しゅいろはもう寝たから、二人でレストランでも行って来なさいよ」


『ホノカも未だでしょ』


「私は良いから、大くん誘って行って来なさい」


ホノカはにやけながら、着替えに戻ったシオリの部屋を訪ねていた。


『彼も寝てるかも、もう遅いし』


「起きてるわよ。さっき着替えたらこっちに来るって言ってたじゃない」


『そうだけど……』


下着を脱ぎかけ、どうするか迷っている。


もう行かないなら、シャワーを浴びて早く寝たい。


「じゃあ大くんがパジャマで来なかったら誘ってみなさいよ、ね」


『うん……それなら』


シオリは下着を着替えて、リビングへ戻った。


「コーヒーでも煎れておけば」


『うん……』


なんだか怪しい。早く寝たしゅいろといい、やけに気のきくホノカといい。


「私甘いラテお願い」


『贅沢言わないで』


その図々しい様は、まあいつものホノカのような気もする。


「ケチ」


考えすぎなのかもしれない。