2LDKのお姫様

「はぁ………」


真面目にため息が出てしまうくらい、素晴らしい家だった。


この都心部に、こんな閑静な住宅街とくれば、地価だけでも相当な値をはるはずだ。


『あの子の家、お金持ちだって言ってたでしょ』


お金持ち。それにしても凄すぎる。庭園のある日本家屋なんて、まだ市内にあるとは。


「これ、どこが玄関なんですかね」


チャイムを押す場所が解らなくなる。


『あの子の部屋は確か裏庭の離れだったはずよ』


どうやらシオリはこの家に来たことがあるらしく、慣れた足取りで裏の方へ歩いていった。


あの庭園の裏にも庭がある。


大にはそれだけで驚いてしまうくらい、足取りは重いのにだ。


『ここよ』


確かに裏庭に小さな離れがあった。


小さいとは言え、それでも大人4人が過ごしていけるには充分なサイズだ。


「ごめんください……」


大はおそるおそる玄関に入った。


「な、なんだ……」


大は内装の素晴らしさに、また圧倒されてしまったらしく、もう使い物にならない。


『はぁ……。ホノカ、早く出てきなさい』