2LDKのお姫様

道を外れ、ビルが少なくなり、小さな町へ出た。


『……………』


シオリはなかなか口を開かなかった。


2月の寒い風。


きっと今窓を開ければ冷たいだろう。


「次、左ですか」


『うん』


町を走ること20分。目的地はなんとも閑静な住宅街だった。


「ここですか」


車を駐車場に停めて、歩いていく。


地面に響く硬いクツの音。


『……………』


シオリはまだ黙ったままだ。


風に揺れる前髪。


「前髪……真っ直ぐに揃えるのが流行ってるの」と前に、大に言われたた事があった。


『ふふ』


思い出すと笑えてきた。


「どうかしました」


『いや何でもないの』


大の横をやっとシオリは嬉しそうに歩きだしていた。