2LDKのお姫様

「………」


デジャブとか、そういうモノを信じたことは無い。あのようなモノは一種の精神異常にすぎない。


『早く迎えに行きなさい。車貸してあげるから』


「誰をですか」


『あの二人のお姫さまたちよ』


冷静に怒り狂う彼女がとてつもなく怖い。


怖くすぎる。


「わかりました」


しぶしぶと、いや怯えながら立ち上がる。


『私も行くから』


「どうしてですか」


『あなた、あの二人のいる所、知ってるの』


「ああ……」


とにかく、今の彼女をどうすることもできない。


すぐに二人は駐車場へ向かった。


そこまで行く最中も彼女の機嫌は悪い。


『どうして手をつなぐの』


「だって、せっかくのドライブですし」


大なりに彼女の気をひこうとしたのだが。


『デートなんて気分じゃないです』


でもシオリは自分から手を放そうとはしなかった。