2LDKのお姫様

「ふぅ、うまく逃げれた」



冷や汗と、焦りの生温い汗が額を走り流れていく。



「本当に、たまには大くんも役に立ちますね」



スカートを揺らしながら走って来た2人は、気付けば随分遠くまでたどり着いていた。



「取り敢えずタクシー拾って、私の家に行こう。今日親いないし」



どうやら避難所はホノカの家になりそうだ。



「へいタクシー」



乾いた参道に声が響く。



遠くに蜃気楼で霞んだ黄色が近付いてくる。



2人はその後、まるで滑るように、町を跡にした。








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