2LDKのお姫様

『じゃあ皆さん、私、明日も早いからもう寝ます。おやすみ』



「え………」



シオリはビールを片付けて、水を少し飲んだら直ぐに部屋へ行ってしまった。



「うわ……また怒らせて」



「いや、何も無いですよ」



今回は確かに、彼に決して非がある訳では無い。



しかし。



「バカね。恋愛小説って言うのは、ヒロインにふられたら終わりよ。ただの脇役になるんだから」



「ちょっと俺、部屋行ってきます」



焦り走っていく彼の後ろ姿はとても悲しく見える。



「今回はどうしてシオリ先生怒ってんの」



「さあ。ただのワガママでしょ」



「ふーん」



「まあ、大くんに抱かれれば、直ぐに機嫌は良くなるわよ」



そんな会話があっていたことはいざ知らず、大はシオリの部屋の前で悪戦苦闘していた。